軽井沢の学校ガイドでは、これまで正直に同じ課題を書いてきました。小学生の年齢で、英語で学べて、かつ日本の義務教育にもなる通学校が、軽井沢周辺にはないという点です。2026年4月から、その状況は少し変わりました。LCAきたかる森のインター初等部・プリスクールが北軽井沢に開校したためです。外国人教師が担任を務め、授業の多くを英語で行いながら、制度上は日本の小学校です。
ただし、開校したばかりで、学費は高く、そして所在地は「軽井沢」ではありません。この3点はいずれも重要です。以下、正直に整理します。
以下は2026年8月時点で学校および運営会社が公表している情報です。開校初年度の学校は状況が変わりやすいため、判断の前に必ず直接ご確認ください。
まとめ(TL;DR)
- 2026年4月開校。閉校した北軽井沢小学校の校舎を活用(群馬県長野原町)。
- 一条校であり教育課程特例校。イートンハウスやISAKと異なり、義務教育に該当します。
- 外国人教師が担任。多くの教科を英語で行い、卒業時に**CEFR B1(英検2級相当)**を目標としています。
- 1クラス約15名に教師3名 — おおよそ1対5の手厚さ。
- プリスクールは3〜5歳、小学校とあわせて140名程度を目指す規模。
- 学費は高水準 — 授業料は月額240,000円、入学金600,000円、保証金300,000円。
- 軽井沢から車で約30分、標高1,100mで冬季の運転が現実的な検討事項です。
何がほかと違うのか
日本で英語で学ぶ学校の大半は、軽井沢のイートンハウスや全国の主要校を含め、各種学校として認可されています。しっかり運営された学校であることは変わりませんが、制度上は日本の学校体系の外側にあります。そのため日本国籍のお子さんの場合、通学しても就学義務を果たしたことにはなりません。
LCAきたかる森のインター初等部は、そこが違います。文部科学省の認可を受けた一条校であり、加えて教育課程特例校の指定を受けています。これが、標準の教育課程から離れて一日の多くを英語で行うことを可能にしている仕組みです。群馬県が長野原町をグローバル教育の特区として指定したことが、開校の前提になっています。
実際の意味は明快です。ほぼ英語で学びながら、同時に日本の小学校に在籍している状態をつくれます。重国籍のご家庭、制度の外に出ずにバイリンガル教育を受けさせたい日本のご家庭、そして日本に長く住む予定の外国人のご家庭にとって、この組み合わせは希少です。
場所 — そしてそれが重要な理由
校舎は、2024年3月に閉校した北軽井沢小学校のものです。所在地は〒377-1412 群馬県吾妻郡長野原町北軽井沢1924-44。
ここは正確に読む必要があります。北軽井沢は群馬県、長野原町であり、長野県軽井沢町ではありません。「北軽井沢」は地理的な通称で、行政区画としての軽井沢ではないのです。軽井沢にお住まいなら県をまたぐ通学になり、地域の公立学校のように軽井沢町役場で手続きするものでもありません。
軽井沢からのアクセス
- 車 — およそ30分。
- 路線バス — JR軽井沢駅北口からおよそ40分、約1,210円。
- スクールバス — 希望制、月額45,000円+税。
北軽井沢は標高約1,100mです。11月から4月頃までは積雪・路面凍結が通常で、8月の30分と2月の30分はまったく別物です。毎日の送迎を前提にするなら、冬の道路を一度走ってから判断されることをおすすめします。
対象年齢と学年の拡大
イートンハウスと同様、完成形での開校ではなく、段階的に広がっていきます。
- プリスクール — 3〜5歳(年少・年中・年長)。約15名の異年齢クラス。
- 小学校 — 2026年4月に新1・2年生の複式クラスで開校し、1〜6年生へ拡大予定。
- 規模 — プリスクールと小学校あわせて140名程度を目標。
- 将来 — 北軽井沢での中高一貫校の設置も表明されています。
初年度の学校では、計画ではなく「お子さんの学年が実際に開設されているか」を必ず確認してください。
英語での学びの実際
同校は自らの手法を**「アクティブイマージョン教育」と呼びます。外国人教師が担任を務め、学校生活の多くが英語で進み、日本語は独立した教科として学びます。目標は小学校卒業までにCEFR B1(英検2級相当)**で、これは通常、高校卒業程度とされる水準です。
この目標はこの校舎で急に掲げられたものではなく、運営会社の既存校が長年追い続けてきたものです(後述)。
構造面で押さえておきたい点です。
- 1クラス約15名に教師3名 — およそ1対5。
- 1コマ40分(標準の45分ではありません)。
- プリスクールは8:40〜15:30。早朝保育と17:30までの延長保育あり。
- 小学校の17:30までの放課後預かりは無料。
最後の点は、地域では実質的な差別化要因です。イートンハウスのプリスクールは14:00に終わるため共働きには厳しい面がありますが、17:30まで無料で預かれるかどうかは前提がまったく変わります。
ふるさと科と生き方科
国の教育課程に加えて、独自の2教科があります。学校の性格がよく表れています。
- ふるさと科 — 地域の歴史・自然・人を学びのフィールドとして扱います。標高1,100mの森と火山地形の土地では、これは抽象論になりません。
- 生き方科 — 自分がどういう人間で、どこへ向かうのかを考え、自分で時間を組み立てる時間です。
創立者は全体をウェルビーイングとインクルーシブ教育の観点で語っています。「どの子も取り残さない」、指導の前にまず自己肯定感を、という考え方です。好みは分かれるところですが、宣伝文句ではなく一貫した思想であり、運営会社が長年実践してきたものでもあります。
学費
2027年度入試の公表額です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 受験料 | 30,000円 |
| 入学金 | 600,000円 |
| 保証金 | 300,000円 |
| 授業料 | 月額240,000円(諸経費・施設協力費・ICT教育費・活動費等を含む) |
| 給食費 | 月額15,000円+税 |
| スクールバス(希望制) | 月額45,000円+税 |
| 放課後預かり(17:30まで) | 無料 |
兄弟姉妹の割引があり、絵の具・書道・裁縫セットなどの個人教材費は都度徴収されます。
この金額は率直に見ておく必要があります。 授業料が12か月分であれば月額240,000円は年間およそ288万円、給食費で約18万円が加わります。入学金と保証金を含めた初年度の支出は400万円近くになり、これはスクールバスを除いた額です。つまり東京の最上位校と同水準で、全国比較で見ても最も高い部類、イートンハウス軽井沢の220万円を大きく上回ります。1対5という手厚さが理由の多くを占めますが、安くはありません。
入試日程(2027年度)
考査と家族面接を含む3回の機会があります。
| 回 | 出願 | 面接 | 考査 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 2026年6月15〜30日(終了) | 2026年7月6〜10日 | 2026年7月20日 |
| 第2回 | 2026年10月1〜12日 | 2026年10月19〜23日 | 2026年11月1日 |
| 第3回 | 2027年1月5〜7日 | 2027年1月13〜15日 | 2027年1月24日 |
次に出願できるのは第2回です。2027年度の受験資格は生年月日で区切られ、小学1年生は2020年4月2日〜2021年4月1日生まれ、プリスクールP1〜P3は2021年4月〜2024年4月生まれが対象です。募集は各15名程度のため、実際の制約は考査よりも定員です。
運営はどこか
運営は神奈川県相模原市に本拠を置く株式会社エデューレエルシーエーです。同社の既存校LCA国際小学校は、構造改革特区制度を用いて設立された、日本初の株式会社立の小学校でした。今回、長野原町で使われているのも同じ制度的な発想です。
この実績が、新校を判断するうえで最も確かな材料です。LCAは一条校の枠内で英語イマージョンを長年運営し、英検2級を目標に独自教材を用いてきました。北軽井沢は、実績のあるモデルの新しい拠点であり、ゼロからの試みではありません。
地域の他の選択肢との比較
| LCAきたかる | イートンハウス軽井沢 | 地域の公立学校 | |
|---|---|---|---|
| 言語 | 主に英語 | 英語 | 日本語 |
| 義務教育に該当 | する(一条校) | しない | する |
| 対象 | 3〜5歳+小1から | 2〜6歳+小1から | 6〜15歳 |
| 年間費用 | 約288万円+諸費用 | 約220万円+税 | 実質無償 |
| 場所 | 群馬県・車で約30分 | 軽井沢町内 | 居住地域 |
| 17:30までの預かり | 無料 | 14:00まで(プリスクール) | 状況による |
英語で学びながら日本の制度内にとどまりたい場合、軽井沢周辺では現時点で唯一の選択肢です。一方で、日本語環境での学びを望む場合や、初年度400万円が現実的でない場合は、地域の公立学校が引き続き妥当な基本線であり、実際に多くの居住家庭が選んでいます。
正直なトレードオフ
- 開校したばかりです。第1期生は2026年4月入学で、卒業生も、この校舎での実績も、話を聞ける保護者コミュニティもまだありません。
- 学費が高い — 群馬の山間部で東京最上位校の水準です。
- 通学は県境をまたぎ、標高が高く、冬は本格的です。
- 上の学年はまだ存在しません。拡大がお子さんの学年に間に合うかに賭ける形になります。
- モデルは実証済み、校舎は未実証。根拠は相模原の既存校であり、この校舎の実績ではありません。
その一方で、1対5の手厚さ、17:30まで無料の預かり、日本の在籍記録を保ったままのバイリンガル教育、そして森の中の15人学級があります。条件が合うご家庭にとっては、軽井沢周辺の他のどこにもない組み合わせです。
ERISAのサポート
開校初年度で、しかも県外の学校となると、手続きは分かりにくくなりがちです。ERISA(有限会社えり紗)は、学校見学・考査・家族面接での通訳、出願書類や成績表の翻訳、県境を越えて一条校に就学することが住民登録や軽井沢での選択肢とどう関わるかのご説明まで対応します。地域の学校やイートンハウスとの比較も、「選ばない」という判断を含めて正直にお手伝いします。
学齢のお子さんと移住をご検討中の方は、まず軽井沢への移住をご覧ください。全体像は軽井沢ガイド、ご相談はお問い合わせから。
